風化が進んだ大谷石の外柵を御影石へリフォーム。久喜市寺院墓地

埼玉県久喜市にて、お墓・石材のお仕事をさせていただいております、木村石材店 石原です。久喜市内の寺院墓地にて、風化が進んだ大谷石の外柵を、御影石へリフォームさせていただきました!

久喜市内寺院墓地 外柵リフォーム

 

今年初めにご納骨のお手伝いをさせていただいたお客様から、お墓の外柵を直してほしいというご相談をいただきました。

 

こちらがご相談をいただいたお墓です。外柵の向かって左側の一部が折れてしまっています。この外柵は、栃木県産の大谷石という石で作られています。昔ながらのお墓の外柵に使われていることもよくありますが、御影石に比べると柔らかい性質があり、風化が進むとボロボロになってしまいます。ご納骨のお手伝いをさせていただいた際も割れていることに気付いたので、危ないので気を付けてくださいねとお伝えして、もし修理をされるときはお声かけくださいとお話していたところ、「やっぱり危ないので修理をしたい」と今年の5月にご来店くださいました。

石塔などお墓そのものはしっかりしていましたし、お客様もできるだけ費用を抑えたいとご希望でしたので、石塔はそのまま残して、安全にお参りができるようにリフォームすることをご提案しました。

 

ご提案した最終図面です。赤御影石の石塔と墓誌、右側の古いお墓の配置はそのまま、外柵はすべて御影石製にします。これまでの施工例やカタログをご覧いただいた中から気に入られたものを参考に設計しました。ご年配のお客様でしたので、安全にお参りできるよう、入り口はフラットに入れるようにしています。ご了承いただいて、早速工事に入りました。

 

私も同席させていただいて、お寺様にお経を上げていただいて開眼戻しを済ませ、ご遺骨の取り出しをお手伝いしました。ご遺骨はお寺様に一旦お預かりいただいて工事に取り掛かります。お墓は一旦すべて取り外し、納骨室もすべて取り除きました。大谷石の外柵は、土の中にも一段ありました。すべて取り外して完全な更地に戻します。

 

すべて取り外したあとは、基礎工事から行います。しっかりと転圧して、地盤を固めます。

 

割りグリ(直径10~20cmほどの砕石)を入れ、さらにしっかりと固めます。

 

しっかり転圧した場所に、基礎の枠組みをして中に配筋し、コンクリートを流し込む準備をしました。中央の木枠は、納骨室の下にあたる場所です。

 

コンクリートを流し込んで、しばらく養生期間を置いてしっかり固まったら、枠を取り外します。これで基礎コンクリートが完成です。

 

完成した基礎の上に、外柵の石を据え付けていきます。すっきりしていてシンプルながら、できる限り段差をなくしたお参りしやすい設計です。

 

お墓の向かって右奥の外柵内側です。印のように、石と石の継ぎ目、石とコンクリート基礎の継ぎ目は、L字の金具でしっかり留めています。写真右側のまっすぐな金具は平金具で、石と石を固定しています。お墓が完成すると見えなくなる部分ですが、長い将来にわたって安心してお参りいただくための大切な部分です。

 

羽目石を据えて、周りには石貼りをしました。中央は、御影石で作成した丈夫な納骨室です。この上に石塔を設置していきます。

 

こちらは、工場での作業の様子です。右側にあった古い石塔で、水垢がずいぶんついていましたので、取り外して持ち帰ったこの機会にクリーニングしました。

 

外柵部分が組み上がってきました。納骨室の上には、一番下の芝台、手前の拝石を設置しています。墓誌の台座も設置しました。

 

石塔の下台を据えて、その上に棹石を据える準備をしています。耐震のコーキング等を使用して、地震に強いお墓にします。

 

リフォーム工事が完了しました。羽目石の曲線がとてもきれいなデザインです。

 

既存の石塔もすべてきれいにこすり洗いをして、できる限りで水垢を取り除きました。右手のお墓は正面に向きを変えて、古くなっていた花立を交換しています。

 

お墓後方は塔婆立てを設けました。全面石貼りなので草取りも必要なく、お掃除もとても楽です。

 

入口はフラットで、すべり止め加工をしています。また、お墓の周りは泥はねがないよう、白い砂利を敷いて仕上げました。

お客様には本当に喜んでいただけました。ご高齢の方でしたので、お打ち合わせの際などはご友人の方が付き添われてお越しいただきましたが、今回安全でお参りしやすいお墓になりましたので、これからもどうぞお体にお気をつけて、末永くお参りいただければと思います。

今回は、大谷石の外柵のリフォーム工事でした。久喜市内でも、昭和に建てられたお墓では大谷石のものもまだ残っていて、それが風化してボロボロになってしまい、どうしようかと悩んでいる方も多いようです。対処方法としては、今回のように外柵すべてを作り替えるケースもあれば、壊れてしまった塔婆立てをステンレスに作り替えたり、ボロボロになった羽目石や笠石だけを取り外したりと、部分的に手を入れることもあります。場合によっては、セメントで目地を埋めるだけでもずいぶん違います。ちょっとしたことでも手を入れて、安全に気持ちよくお参りいただけることが一番大切だと考えておりますので、気になる方はどうぞお気軽にお問合せください!